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お父さんの居場所 [住宅]

自動車通勤で仕事の帰りに車の中でいくらかの時間をすごし、それから家に入るお父さんが増えていると言う話を聞いた。昼間は仕事で会社で過ごし、夜は家族とともに過ごす父親にとっては基本的にはひとりで過ごす時間は無い。住宅の設計をしていても子供室はあっても父親室という部屋を設けたケースは今のところない。

n+LDKという戦後一般的になった住宅の形式では、「n」は子供室と主寝室に当てられるのが普通で、「n」には父親の個人的スペースがあてがわれるケースはあまり無いように思われる。住宅は各家族の必要に応じて作られるものなので、子供室や寝室は暮らしの中で必要と思われるので設けられる。では、父親室が設けられないのは暮らしの中で必要が無いから設けられないということだ。居間や食堂があるので日頃父親はそこで過ごすことになるが、そこは家の中でのパブリックなスペースである。昼間は会社員、家では父親として生きているお父さん達だが、一個人としての、会社員、父親から解放されたひとりの人間としての時間、空間はどうなっているのだろうか。

冒頭の車の中でのいくらかの時間というのが会社員と父親との狭間で作ったささやかなひとりの人間としての時間であり、空間ということだろうがあまりに貧困な印象だ。暮らしを支えているのはお父さんであり、家族の為に働いているのに。確かに「書斎」と名の付く部屋を設けることはある。しかし「書斎」はあまりに知的空間のイメージが強すぎるし、「ホビールーム」と名前を変えても何かしらの行為を示すスペースで父親個人の専用スペースであることを示していない。

思えば、父親=一家の主たるもの子供と同列に「子供室」と列挙して「父親室」を持つなんて、父親としての沽券に関わることで、家全体を司る立場としては個人的なスペースを持つこと自体が家族のまとまりを乱すことになりかねない。また、もし実際に「父親室」と平面図に明記すれば、「一体どんなご家庭なの?」ともなる。結局のところ、今の段階では家庭内での父親専用スペースを子供室と同様に設けるには感覚的に不自然なイメージがあるようだ。

もうひとつ考えられるのは、父親専用部屋を設けると牢屋と化してしまう心配があるから。そこは各ご家庭の事情もあろうが、専用スペースを作ると自由気ままに使うどころか、居たくなくても家族から追いやられてしまい、出られなくなる恐れがあるから最初から作らないという考え。これ、以外にリアルかもしれない。

幸せで平和な家庭を作るにはやはりお父さんは、会社では社会人として額に汗し、家では父親として家族を見守るという、役割を果たさなくてはならないという事。社会人と父親の切り替えの時に生まれるささやかな一個人の時間や空間を苦心して探す環境が幸せで楽しいのかもしれない。

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コメント 5

Ken坊

二反田公園です。
クロと二人でノンビリ過ごすのには最適ですが、これからの季節はちょっと厳しいです。
道場ほしい・・・
by Ken坊 (2011-11-09 22:22) 

namazu

おお、ささやかなお父さんの一人時間を過ごしてるんですね。寒くってもそのうち春が来ます。(他人事だから言える)
頑張ろうKen坊さん!

by namazu (2011-11-09 23:01) 

あおやき

なるほどなぁ・・と頷いてしまいました。

ステップワゴンを買った一つの理由に、
公園の駐車場でトランペットの練習が
出来ることでした。

でも乗用車より広いとはいえ、
それはあくまでも車の中ですから、
そんなに練習をする事は無くなってしまいました。

私も維摩池の畔で愛犬と戯れる時間でしょうか。。。。

防音室が欲しい!
by あおやき (2011-11-10 09:28) 

namazu

維摩池の湖畔で愛犬と戯れながら、夕日を背にトランペットを奏でてみたらどうでしょうか?
となりでKen坊さんが居合いの稽古を愛犬と戯れながらしている。

なかなか良い風景かと思うのは僕だけ?


by namazu (2011-11-11 21:51) 

さくら

いいと思います!!

by さくら (2011-11-12 00:25) 

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