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紀伊半島の災害 [住宅]

木造で住宅を設計する時はほぼ100%国産の桧や杉を構造材として使っている僕なのだが、特に紀伊半島在住の方々にお世話になりつつ、とてもよい材料を納品していただいている。特に奈良県吉野の坂口製材さんには何件もお世話になっていて、今日プレカットの打合せをしたM邸の材料も例外ではない。その坂口製材さんは今回台風12号で被害にあった奈良県五条にも工場があり、心配していたところなのだが、坂口さん本人がFaceBookに何かと台風以外のことを書き込んだりコメントしているところをみると、「ああ、大丈夫だったんだな」とお見受けしていた。
が、ふとした思いから、FaceBookに何事もなく書き込んでいたとしても、本当は大変な状況ではないかと心配になり、先ほど直接電話をしてみたのだ。本人いたって元気で、被害もないとの事。ああ、よかったなあ、である。

それにしても今回の災害、木の国紀州は山の国で、土砂災害と背中合わせであることが良くわかった。恐らく被害にあわれた方の中には林業関係の方もおられるだろうし、身体に被害がなくても山の斜面が樹木もろとも崩れた光景を見ると、長年育てた木々の被害も相当であろうと予想できる。

常に言われていることだが、人工林は間伐などの管理をしないと樹木がしっかり根を張ることができず、また、保水力も低下して山が崩れやすく、川の氾濫にもつながる。国産材価格の低迷で今の人工林の多くは放置林で、今回の被害拡大のひとつの要因になっているのではないかと思っているのだ。

とにかく、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

IKEAのキッチン(2) [住宅]

昨日、尾張旭H邸のキッチンを最終確認のため建築主のHさんにもご足労いただき大阪のIKEA鶴浜へ行って来た。台風12号で大阪も雨模様。その天候のせいか、いつにも増して大変なお客さんで、店内はごった返していた。途中、入場制限もされるほどの人だかり。店舗で入場制限が行われるなんて、いまだかつて聞いたことがない。

水栓を浄水器付きに変更になった以外は、事前に僕がIKEAに足を運んだりカタログなどで選んで提案した扉材、レイアウト、部品で了解をいただき発注することになった。コンロと、配送費、取付け代を除き40万円以内で納まりそうで、内容や品質に比して極めて安くできることは間違いない。代金確認後約3週間で納品できるとの事。

IKEAはネットでの発注や電話での問い合わせができない等の大変不便なところがあって、設計者としては少々エネルギーが余計にかかるが、一度経験してしまえばどうということはなさそうだし、何にしてもコストパフォーマンスが魅力である。事実、IKEAキッチンについてはちょっとした自信がついた。えへん!

取付け工事を工事のS建設に依頼することになるのだが、一般の人でもセルフでできるとパンフには書いてあるし、タンスを組み立てた経験からして問題なくできると思うのだが、やってみなければ何が起きるかわからない不安があることも事実。

1ヵ月後にはここでキッチン取付けの様子をリポートできると思う。

IKEAのキッチン(1) [住宅]

現在工事が進んでいる尾張旭のH邸のキッチンは、IKEAのものを入れる予定で、昨日その見積依頼や現物確認の為に大阪のIKEA鶴浜に行ってきた。どうしてIKEAかというと、やっぱりコストパフォーマンスやデザインのシンプルさ、セルフ組立などの利点と、一度IKEAと使ってみようという好奇心も少なからずある。しかしながら店舗に出向かなければならない不便さもあるが、いずれにしてもとにかく行って見なければ良いところも悪いところもわからない。この地域ではまだ施工例も少ないであろうから、今後購入をお考えの方に参考になればと思い、完成までをレポートしたいと思う。


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カタログでわかる範囲でユニットや小物を選び、このようなスケッチを描いて、建築主Hさんのご要望による修正を加え昨日IKEAのキッチン担当者に見積を依頼した。やはりカタログだけではわからない事や、廃盤になった部品などもあるので担当のアドヴァイスにより修正して見積することになった。数日後にはメールで見積者が届く予定。

金額を確認して最終的には来店して最終の仕様を決定し、代金振込確認後の正式発注となる。代金先払いというのがあまりない例だし、また大阪まで行かなければならないのがちょっとしんどいが、IKEAに行けばそれなりに楽しいのでさほどの負担感はない。

施工もIKEAのサービスがあるが、ユニット1個あたり1万円にその他設備業者なども必要になり、遠方となるので出張費もかかる。ざっと15万円は必要との事。当初からセルフでやる予定なので、IKEAの半分くらいで済むと踏んでいる。

25年という長期保障がついているし、実物を見てもかなりしっかりした作りなので安心してお客様におすすめできる製品ではないかと僕は思っている。

2013年頃には名古屋東部にも店舗が出来るといううわさなので、そうなればもっと使いやすくなるのでは。

ちなみに、娘の9年前に買ったニトリのチェストが壊れてしまったので今回のIKEA来店を機に新しい物を購入した。ニトリは確かに6000円程度と安かったが、ボックスの材料、つくりや引き出しの構造など、かなりスペックダウンされていて9年しかもたなかった。今回購入した物は8990円。引き出にもレールがしっかり仕込まれている。また重さも二人でなければ持てないくらいある。知り合いの家具屋さんが、「家具は目方」と言っていたがそれが本当ならばIKEAは期待が出来そうだ。

早朝地鎮祭 [住宅]

今日、M邸の地鎮祭があった。
開始時間は朝の6時50分。久しぶりの早朝の地鎮祭で、小鳥のさえずりとともに神主さんの祝詞が朝の空気に沁みていた。今日は大安吉日。そもそも神主さんへの依頼が遅くなったためにこの時間しか空いていなかったため早朝となってしまったのだが、建築主さんにとってもこの時間が一番良かったという、偶然のベストマッチング。

神事は早朝がよく合うと思った。出でたばかりのお日様の光は真東から水平に差し込み、一日の始まりにありがたい祝詞をあげていただくなんて、ちょっとした修行にも似たところがあるが、その分ご利益が多い感じもするのだ。

ところで、今日お願いした神主さんは以前ここにも登場いただいたが、気さくな方でありながらも、本当にありがたいお話をして下さるのだ。お願いするのは4回目になるが、儀式の始まりに建築主さんに必ず質問をされる。
「今日ここで何をお祈りしますか」と。
100%「工事の安全と、立派に家が建ちますようにとお祈りします」と建築主さんはお答えするが、そこで神主さん曰く
「その通りなのですが、こうして地鎮祭を迎えることが出来たことは、いろいろな人たちとの縁があってこそなので、その縁に感謝すること。また、自分を生んでくれた親や、延々と続くご先祖さまに感謝しなくてはなりませんぞ。なあ、すけさん、かくさん」
おっと、水戸黄門になってしまったが、要するに、神様はお願いする対象ではなく、感謝の意を表する対象であるということ。さすれば汝は必ず幸福になれるということである。
このお言葉はとても身に沁みるものがあって、その都度僕も自らを省みるのだが。

ちなみにキリスト教の世界にも地鎮祭と同様の儀式があって、ground break ceremony と言うそうだ。
土地を壊す儀式、ではなく、breakには鎮めるという意味もあり、まさしく直訳でも地鎮祭となる。

家を建てる時、土地に手を入れる時には大地に畏敬の念を払わなくてはならないのはどの世界でも同じ。先日の大震災にも思いが至ってしまった。

異議ありに異議あり。 [住宅]

今日の朝日新聞「異議あり」のコーナーに経済アナリストの森永卓郎さんが最近話題の断捨離に異議を唱えていた。

物を持たず、すっきりした暮らしをしましょうと言うのが断捨離の考えなのだが、日用品や食品のストックがないと、この前の東日本大震災の時のように、物を持たない人たちが買いに走ってパニックになった。このようなことがないようになるべくストックしておきましょう。

安売りの時にたくさん買いだめしておけば、何割か安く買えるので、家計的にもよい。

無からは何も生まれない。ガラクタを捨てて心もすっきりさせることよりも、無駄の中から新しい物や考えが生まれるのだから、不要だと言うことで捨ててしまうと自分の可能性も捨てていることと同じである。

都心に近く狭い部屋に物を持たない暮らしは、企業にとっては通勤コストは少なく、疲れない。また、ライフスタイルも多様化するとコストもかかるので規格化されたライフスタイルの国民の方が労働力としては使いやすい。断捨離は企業側の陰謀であると。

だから、都心から離れた大きな家に住み、大きな収納スペースを設けて、物をたくさん持って暮らした方が豊かであるとの論理なのだ。

僕たちが住宅の設計をする前提は、家は整理されていて使い勝手が良く、すっきりとした空間が豊かと言う価値観なので、森永氏の言っていることはまったく反対。物があふれ足の踏み場もないような家では、いちいち物を探さなくてはならないし、第一美しくて豊かな空間には絶対ならない。物が多いと言うことは管理にもエネルギーがかかり、物も場所を占有するのでそれだけで土地代や建築費を占用しているので不合理なはず。整理することに異論を唱えてはいないようだが、整理するためには不要な物を捨てるのが第一段階であるはず。

また、断捨離とは過去にこだわらず物を捨てることで次なる発展を目指そうよ!と言う前向きな考えが元なので、物を捨てて無になると、何にも生まれないと言う考えとは180度違うのだ。

経済学者だから物の流通が経済を促すとお考えなのだろうが、この経済発展主義的な考え自体があの震災で破綻をきたしたのではないか。物量よりも、少なくても、小さくても質のよいものに囲まれた暮らしに価値を認め、豊かさを見出さないといけないのではと思うのである。

森永卓郎さんの話はちょっと収集マニア側の自己弁護的な感じがするなあ。

キッチン打合 [住宅]

昨日、星が丘のリクシルショールームにてM邸のキッチンの打合せがあった。
最近の既製のキッチンはいろいろな機能があって、特に収納能力が過去の物と比べると格段にアップしていて、かつ使い勝手が良くなっているようである。この製品は引き出しの扉が手前に引くと15度くらい倒れて、扉の後ろにポケットがあり、小物が収納出来るになっている。結構複雑な機構になっているようでその仕組みは一目ではなかなか理解できないのだ。いろいろ機能がついている事は良しとしても心配なのはその耐久性。えてして複雑化するとそれに伴って部品も増え、そして故障する箇所も増えるということ。少なくても20年や30年の耐久性はほしいのだ。対応してくれた女性社員にその点聞くと、8万回の動作試験をしてクリアしているとの事。一日10回開け閉めをして約22年大丈夫となるので、これならOKかなと思う。メーカーさんもいろいろ工夫をしつつ、売らんがための努力をしているようだ。

昨日お伺いしたショールームは元サンウェーブだが、今はリクシル。イナックス、トステムなどの住宅関連メーカーが合体し出来た会社でサンウェーブもそのメンバーのひとつ。ショールームにはイナックスの便器やユニットバスも展示されていて、対応してくれた女性社員も元はイナックスにいたと言う。帰り際には天白にあるエクステリアのショールームを紹介してくれた。キッチンを見に来てエクステリアを紹介されるなんて事はいまだかつてないことで、リニックスならではのことだ。門扉を売りつつ便器を売る。お風呂を売りつつサッシを売る。縮小する住宅市場で生き残るため再編されたこの会社、単独ではこの先生き残れないと考え、合体したのだ。

これからどうなる住宅業界?

H邸 建前 [住宅]

今日は昨日ここで書いたようにH邸の建前である。午前中は日が照って気温もぐんぐんと上がっていたが、お昼頃から雲が広がり始め、瞬間的に雨も混じっていた。
昼休みに昼食を済ませて、お祝いのお酒を買って(土岐の三千盛)現場に行くと、もう柱、梁は組み上がって、レッカーも帰った後だった。こんなに早い建前は初めてで、今日中に屋根の野地板はおろか、外壁の合板まで済みそうだ。
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お昼から広がった雲のおかげで、激しい太陽光線は遮られ、少し涼しい感じがする。大工さんたちも、助かるわぁ、と言っていた。

夕方からは建築主さんも現場に来られ、誠和建設の社長さんの仕切りで神事が行われる。

建前前日 [住宅]

瀬戸まで用事で出かけた帰り、明日建前を迎えるH邸の現場を訪れた。
夕方近くだったので大工の梶原親子が帰り支度をしているところで、真っ黒に日焼けした顔で迎えてくれた。
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土台も伏せられ、足場も架けられ、材料の一部も現場に搬入され、あとは明日の建前を迎えるばかりである。今年の梅雨は雨天の日が少なく、予定通りの進捗状況である。

問題はこの暑さだが、百戦錬磨の大工集団にとっては熱中症でダウンなんて事はないだろうが、水分、塩分を取って何とか乗り越えていただきたいものだ。工事の安全と職人さんたちの健康を祈るばかりの今年の夏だ。

大工梶原親子。日焼けですでに皮がぺろんぺろんにむけたそうだ。
どうりでいい男になったわけだ。

アリ軍団襲来 [住宅]

早くも梅雨が明けた模様。入梅が早かった分、夏の訪れも早い今年の夏です。

夕方、息子から家がアリですごいことになっている。一人ではなんともならんから、助けて~!と、悲鳴にも似た声で事務所に電話が入った。仕事中だったが、ただならぬ息子の様子に殺虫剤を持って自宅に帰ると、確かにすごいアリだ。床一面真っ黒、とまではいかないが、相当な数の小さなアリが床ばかりでなく、テーブルの上から台所のカウンターにまでも、うようよ。殺虫剤を撒き散らし、掃除機で吸い取ること30分余り。なんとかアリ軍団を撃退することが出来た。かわいそうだが、同居するわけにはいかないのだ。

息子への聞き取り調査によると、ゴミ箱に捨ててあったアイスクリームを包んであったビニール袋に一番群がっていたとの事。このビニール袋、お昼に僕が食べたアイスのではありませぬか。これ、僕のせい?

何年か前にもこれと似たような事態が、当時住んでいたマンションの3階でもあったし、一人暮らしのときにもあった。アイスを食べていたのを目撃されたのか、どういう訳だかアリの大群が襲来した。アリの浸入経路や習性や、伝達手段など、解らぬことが多い。

こっちがアリ?となってしまうのだ。

小暑 [住宅]

今日は小暑。24節気の11番目。
24節気のネーミングは季節感があり、日本の四季どころか、季節を24分割するその感性がすばらしいと思う。調べてみると小暑はこれから本格的な夏を迎える梅雨明け頃、大暑への覚悟を促すような感じである。今年の梅雨は、今日は涼しかったが、梅雨真っ最中の時期から盛夏のような暑い日が続いたので既に覚悟は出来上がっているものの、昨年のよりもお手柔らかにとお天道様にお願いしたくなる。しかも節電の夏でもあるし。

この季節、気温が高い上に湿度も高い。湿度が高いということは、その高温多湿の空気がちょっとでも冷たい部分に接すると結露するので、建築的にも配慮しなくてはならない。冷房時は家の中の方が気温が低いので外部の空気は家の外壁側に結露しやすくなる。時に自動車でフロントガラスの外側が結露することがあるが、同じような現象が建物でも起こり得るのである。昔の住宅にはエアコンがなかったので夏型結露なんて事は起こりえなかったが、エアコンがある今の住宅はそうなのだ。

また、通風が欲しいときには窓を開けるが、今の季節のように雨が降っているときに庇がないと雨が室内に降り込むので開けるに開けられない。しかも節電でエアコンをつけるのもはばかれる昨今、そんな家にお住まいの方は、どうすりゃいいのさこの私~♪と歌うしかない。あるいは、庇をつけなかった設計者を恨むしかない。

ちなみに今日の小暑から8月8日の立秋までの期間、時候の挨拶は「暑中お見舞い申し上げます」になるが、今年は「節電お見舞い申し上げます」の方がふさわしいかもしれない。

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