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オープンハウスを開催します [住宅]

尾張旭東部の旭台に平屋の中庭のある住宅が完成しました。
建築主様のご好意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。

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開催日時は
11/5(SAT)・6(SUN) 11:00~16:00

場所は 尾張旭市旭台3丁目です。
詳しくはこちらをご覧下さい。

http://archihouse.jp/ivent/20111105openhouse.htm


設計事務所のシェア4% [住宅]

世の中には住宅の依頼先は色々あって、僕たち設計事務所もそのひとつである。セキスイなどの住宅メーカー、タマホームなどのビルダー、地元工務店、あるいは建売などなど。シェアは大体設計事務所が4%、メーカー20%、で地元工務店が40%を占めるらしい。これは最終的に依頼した先で、当初の希望は設計事務所が19%、メーカーが40%だそうだ。設計事務所が19%→4%に激減する訳は、設計料がもったいない、設計事務所が先生で、施主が生徒みたいに扱われてしまう。敷居が高いなどの他、土地の建築条件のため他には依頼出来なかったケースも多い。この理由について正確なところもあるが、誤解されているところも多いようだが、いずれにせよ設計事務所で家を建てる人は4%くらいでかなりの少数派である。

設計事務所の家作りは一品受注生産である。建築主がいて、建設する土地があって、それぞれの家族構成や思いや土地の性格がひとつひとつの住宅を特徴付けてゆくので、他では同じものは必然的に出来ない。生産効率的に言えば非常に非効率なのだが、それが「家」なのだと言うしかない。当然サッシなどの部品は工業製品を使うことはあるが、ルールに基づいた選定をするわけではなく、外部と内部の関係を考えたり、全体デザインを考えた結果として選定するので、使い方や使う意味がそれぞれの家で違ってくるのだ。

いずれにせよ、19→4のギャップは業界としてもちょっと考えなくてはならないではと思うし、19という数字には大きな希望を感じるのである。


続・Zero Style [Na-01] [住宅]

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昨日ここで紹介したZERO Styleの模型であります。

熱環境を考えてこの住宅を考えたと書いたが、もうひとつの特徴は床座のLDと寝室にある。ダイニングテーブルやソファーベッドを置かず畳の上で暮らす家である。

より良い住宅を多くの人が建てられるためにはよりローコストにしなくてはならない。そのためには床面積を少なくすることが必要。もちろん建設過程の合理化やローコストの材料を使うことも必要だが、安価な石油製品を使うことは住宅の寿命を考えると避けたいところ。質を保たなければならない。一般的には床面積至上主義であるが、床面積を確保するために質を落とすのではなく、狭くても高い質の住宅の方が豊かな暮らしができるという価値観でこの住宅を設計した。小さな空間を使うためには空間をフレキシブルに使うことがひとつの方法で、そのために畳としたのである。この空間の利用法は、伝統的な日本のものでもある。

また、今の椅子座の生活であっても、以外に今では床に直に座って寛ぐ人が多いという現状がある。ソファは座るものではなく、もたれる物としているご家庭が多いのでは。これは日本人の持っている習性というか、本能というか。そもそも現代の住宅は、第2次大戦後、軍国主義から開放された日本が、民主主義とセットになって欧米をモデルにした機能主義で発達したことにある。戦前の思想はすべからく悪と考えられた終戦直後、日本の伝統家屋は封建主義、大家族主義の象徴で、タタミ、床の間、襖、障子に至るまで使うべきではないと主張した建築かもいた程の時代だったと聞く。庶民の住宅もLDK+nの間取りに代表されるように、欧米スタイルをひとつの文化的生活のモデルとして日本の住宅は展開してゆき、現代の住宅はその延長線上にある。こうして排除された和の生活だが、本能的に床座のくつろぎを好むものなら本能に従って住宅を作っても良いと思ったのである。

そんなことを考えて作ったこのプラン。本日13日~15日、吹上の中小企業振興会館の建築総合展NAGOYA2011にて展示中。

Zero Style [Na-01] [住宅]

私が参加している建築家、工務店、専門業者の会「らいふくれよん」では、参加建築家がエネファーム、太陽光電池を備えた、エネルギー消費量ゼロを目指す住宅の提案をおこなっている。その住宅をZero-Styleと言う。各建築家がすでに案を提出している中、遅ればせながら私の案がようやくまとまった。

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■平面図

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■断面図

この住宅は家というよりもライフスタイルを提案しようと作った。
中庭のある平屋建てで、中庭をはさんで土間のある畳敷きのリビングダイニング、その奥、建具でリビングと仕切られたこれも畳敷きの寝室がある。また、反対側には子供室や書斎などに使う、離れとして部屋を設けた。主として考えたのが、住宅の熱環境である。冬の間、日中日差しを浴びた土間が熱を蓄え、夜には室内に熱を放つ。また、夏季は土中の冷たい熱を室内にもたらす。中庭の蒸散作用により涼しい風を室内に与える。中庭を囲う塀は防犯機能もあり、夜は窓を閉め切ることもなく、開放して夜を過ごすことが出来る。住まいとして機械設備に頼ることなく、自然の恵みを生かした住宅を目指している。

そもそもエネファーム、太陽光電池は低炭素社会を目指すために開発されたもので、それらの設備を備えた住宅はつくりからその考えに合致したものにすべきという考えである。高気密、高断熱で熱負荷を低減した空調設備ありきの家も当然在りうるが、それとは考え方が異なる。熱、光や風は時に悪として住環境に影響するが、恩恵でもある。それをコントロールしたのが、屋根の庇であったり、開口部の工夫であったりで、日本の伝統家屋が昔から引き継いできたもの。エネファーム、太陽光電池にしても先端技術をもってして自然の恩恵を住まいに生かすものだから、伝統的な日本家屋の延長線上に生かすのがまさしく自然と思うのである。(つづく)

ちなみに、らいふくれよんは今週10/13~15、吹上のでおこなわれる建築総合展NAGOYA2011にブース出展します。そちらで各建築家の提案住宅ZeroStyleを見ることができます。
http://www.chukei-news.co.jp/kenchiku/

14日12:00~15:00は私が当番で会場におりますので、お時間ありましたら是非お越し下さい。

IKEAのキッチン(3) [住宅]

尾張旭のH邸の現場である。外部は外構を残し概ね完成し、内部も左官工事、建具工事が終わり、完成も間もない。この3連休を使って、建築主のHさんも家族を動員して塀やデッキ材の塗装をして下さった。コストダウンのための施主施工である。

さて、IKEAのキッチンだが、9月上旬にIKEA鶴浜で注文し、Hさんからの入金で発注が確定したが、当初納期が5週間ごといわれたにも拘らず、9月下旬には現場にカウンターを除き納入された。当初言われていた納期よりもかなり早い。言われたことと、実際の納期とのギャップに戸惑ってしまった。早いに越したことはないが、受け入れるほうの準備というものがある。

フラットバッケージといって箱の状態では納入されず、パネルのままで梱包してありすべて現場で組み立てる。
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箱を開けるとこのようにすべての部品や金具が、ユニットごとにセットされていて、それぞれに組立マニュアルが入っている。また、箱の外側にはユニットの絵が描いてあり、ビジュアル的にわかるようになっている。
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マニュアルもすべからくビジュアル化されていて、文字は数字と記号のみ。世界各国に店舗展開するIKEAの合理的工夫だろう。組立の方法が一目瞭然理解でき、このマニュアルは優れもんだ。
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森監督と二人で組立を行ったが、なかなかマニュアルどおりに行かないところもあり、全体スムーズには行かなかった。特に、指示されいる場所に部品を取り付けたのも関わらず、どうしても納まらないところがあったり、どう見ても部品が足りなかったり。相当量の部品を組み立てるだけあって、多少このようなことはあるだろうが、問い合わせ先も書いていないのは問題ではないかと思ってしまう。

一日でフロアユニットの部分はほぼ完成。あとはカウンター、レンジフード、コンロ、水栓を取り付ければ完成する。全体の組立はほぼ4人工と言ったところだろうか。一般のお客さんもセルフビルドが可能であることがこのキッチンの特徴で、ドライバーを扱うことができれば組み立てられる構造になっている。また、引出の金物などもかなり頑丈で、品質的にも問題はなさそうだ。
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僕たちがキッチン組立をしている一方では、リビングのタイル張工事が行われていた。このタイルは僕の事務所の玄関にも張ってあるもので、土っぽい感じがとても良い。メーカーのベイスの横井さんも謎の女性を伴い現場に登場。
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重厚なタイルの壁が全体を引き締めてくれている。このタイル。予算の関係で一時は不採用になりかけたが、Hさんの決断で復活採用となったもの。

昨日の現場の状況であります。11月5,6日にはHさんのご厚意でオープンハウスを開催しますので、興味のある方は是非起こし下さい。中庭のある平屋の住宅で、とても気持ちの良い、住み心地の良い住宅です。
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チリオトシ [住宅]

チリオトシ、漢字で書けば恐らく「塵落し」に間違いないだろう。

昨日尾張旭のH邸の現場に内部の建具が取り付けられたが、押入の襖の引き手がこのチリオトシという。
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引き手として凹ませた部分が斜めになっていて、塵が溜らない形状になっている。昔からある茶室などの襖にこのデザインが見られるが、なかなかきれいで、工夫された引き手である。通常は金物の部品を取り付けるのだが、今回これをやることにした。この引き手をなんというのか知らなかったが、建具屋さんも初めてとの事で、色々と調べてもらって、この名前を教えていただいたのだ。

建物の部分にはすべからく名称があるが、こういうネーミングをつけた昔の方は、ひと言でその特徴を捉えていて、すごいなといつも思うのである。

さて、建築でのウマ、ネコ、アリ、サル、ウマ、とは何のことでしょうか。


メンテナンス [住宅]

住宅の設計をするのが僕の仕事なのだが、建築主さんが住み始めた後何かと手がかかる住まいでは大変申し訳ないので、なるべくなら手のかからない住宅が良いのではないかと思っている。大体複雑な形にすると、特に屋根などは、雨漏りのする恐れのあるところを多く作ることになるし、装飾的な付加物をつけると、その掃除などの管理がかかるし、建設時のコストもかかる。また、雨は外壁を傷めたり汚したりする原因にもなるので、極力ひさしを設けるのが良いと思うのだが、建物のデザインとして庇を付ける訳にはいかない場合もある。そんな時はガルバリウム鋼板など、雨に強い材料にする事も選択肢のひとつ。

メンテナンス上の理屈としてはそうなのだが、木や左官壁など、味わいのある有機質な材料もとても魅力的で使いたいなのだが、経年変化をするし、反ったり、割れたり、色が変わったりするのであとあとのお世話が必要。木や土がなぜ魅力的なのか、なかなか明確な説明は難しいのだが、皆が持っている人間としての感性が自然のものになじむということなのかなと思う。それに、手をかけた子の方がかわいいというけれども、建物も同じで、手のかかったほうが愛着がわくとも言えるわけだ。

理屈と感情の間を行ったり来たりしながらいろいろ考えつつ仕事をする毎日なのだ。

楽と楽しい [住宅]

先日雑誌で作詞家、エッセイストの麻生圭子さんがこんなことを書いていた。
楽と楽しいとは違うもの。

麻生圭子さんは十数年ほど前、京都に移り、築70年の町屋を買ってそこに暮らしている。その生活は暑い京都でもエアコンを使わず、火鉢やストーブで暖を採り、昔ながらの土間の台所を使い、化学洗剤を使わず掃除をするなど、徹底的な昔ながらの町屋の暮らしをしているそうだ。

実際、生活は楽ではないが楽しいと言っている。

今の住宅はとかく便利に、快適にを求めて作られているのは事実で、高気密高断熱にして年がら年中家の中は春とか、段差がないバリアフリーで老後も安心とか、生活の楽が住宅の価値観になっていることは否めない。別にそれが悪いといっているわけではないが、麻生さんのように楽ではないが楽しむという価値観はとても賛同できる話で、楽の為に楽しさを排除してきたところもあるような気がしている。

スポーツや勉強や芸事でもそんなところがあって、ある一定の苦痛を克服して初めて楽しさを発見することがある。麻生さんの生活にしてもある人から見れば不便で苦痛かもしれないが、本当の楽しみとはそんな不便なことも克服した上で感じ取れるものかも知れない。

麻生さんの暮らしはなかなか魅力的である。

左官の仕事 [住宅]

昨日夕方尾張旭市内のH邸に左官の塗り調子の確認に行った。前にも書いたが、左官仕上の壁は30cm角程度の見本では全体の感じがわからないし、イメージを言葉で伝えることは難しいので、現場で職人さんと直に話をするのが正確で早い。
この写真は試し塗をしている職人さんの姿である。
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左官の仕事は一枚の壁を一気に仕上なくてはならないそうで、試し塗りはなるべく面積の小さい面で、且つ目立たないところでやるのが良い。

職人さんの世界はなかなか奥深いところがあるので、色々話を聞くのが僕は好きなのだが、道具の話がやっぱり面白い。何種類もの鏝(コテ)を使って仕事をするそうだが、コテにも焼きが甘い鉄の物と焼きが強い鉄の物とがあるそうだが、使う左官材料によって使い分けるとか。また、人によって好みがあるそうで、そこまでいくにはそれなりの時間がかかるそうだ。しかし、そこまでいこうにも仕事がなくては話にならなくて、今の若い職人さんはトレーニングの機会が減っているとのことだった。

時々、予算がないためお施主さんがメインではない部屋の壁を塗りたいという時があるが、やっぱりうまくいかなくて結局はプロに任せたという話があった。一見簡単そうに見えるが、やはりそれなりの訓練がいるのだ。いや、簡単そうに見せているからこそプロの仕事とも言える。

住宅相談 [住宅]

昨日知人の紹介で、あるご夫妻が事務所に相談に来られた。
このご夫妻はある住宅メーカーでお住まいを計画中で、メーカーから提案されるプランがなかなかしっくり来ないので何かいい提案はないかとの相談である。
自由設計とのことで、お施主さんのご希望に沿った設計をするそうだが、お施主さんとしては家づくりは初めてのことだし、自分でどんなプランが良いか考えてもなかなか難しいとのこと。考えるまでもなく、自由設計といえども初めて経験するお施主さんにプランを考えさせるって事はとても乱暴な話で、経験豊富な専門家がいろいろ提案をしアドヴァイスしなければいい住宅はできるはずもない。

先方の設計士さん、お施主さんの言われることはちゃんとやってくれるそうだが、それ以上の提案はないそうだ。その専門家としての知識経験を生かした提案を期待するのはお施主さんとしては当然のことで、それがないのが不満の元のご様子だった。

いろいろお話を聞いて、この土地、このお施主さんなら、という僕なりのプランを提示させていただき、まるっと違う提案に少々驚きつつもそれなりに満足されたご様子だった。

そもそも、お施主さんに他の設計事務所に相談に行かざるを得なくすること事態ちょっと問題ではなかろうかと思ったのである。

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